2011年12月31日土曜日

パンフェーン村の“完成式”

この“きむろぐ”で1124日に、「巨木の森を訪れて」として紹介したチェンマイ県東部に位置するパンフェーン村。

事務所から車で1時間ほどの場所にあり、今年2月から苦闘が続いていたこの村の活動が1229日、ついに終了しました。

この村は4つの集落からなりますが、全世帯数は220戸、人口703人で、決して大きな村ではありません。

しかし大半を山林が占める面積の広さに、たいへん苦労しました。

度重なるGPSによる測位と、膨大な情報の整理に、多大な時間がかかりました。

“完成式”の当日は、村長・助役や学校長代理、自治市副長などを迎え、中学生の代表も参加して、“村の百科事典”の説明と受け渡しが行われました。


                 〔写真1〕“完成式”の様子


      〔写真2〕“村の百科事典”の使い方の説明に聞き入る村人


                  〔写真3〕“完成式”の後で


タイも日本も「災害」に明け暮れた年が、終わろうとしています。

私たちのくらしや考え方、一人一人の生き方が問われた1年でした。

人と人、国、自然とのあり方が、科学が、責任が、そして未来が問われた年でした。

こんな年にもかかわらず、たくさんの方からLinkへのご協力をいただきました。

ほんとうにありがとうございました。

来る年も引き続き人と人を結び、自然との調和したくらしを探求し、かけがえのない地球を次の世代につないでいくべく活動を継続していこうと思っております。

2012年もみなさまのご理解・ご協力のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。

(き)


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ホアファイ村中学校と駒澤大学の合同水質調査

12月24日から3日間にわたって、Linkの活動地であるホアファイ村の中学校と駒澤大学の合同水質調査プロジェクト“水環境からみるホアファイ村”を行いました。
今回で3回目となる交流調査は、双方にとってすっかり年末の恒例行事となっています。

初日はいつものように挨拶・自己紹介を済ませると、調査手順の説明、実際に川に行っての器具の使い方の練習などを行いました。

2日目は2つの班に分かれ、実際に川に行って調査を行いました。
調査項目は流量、温度、電導率やph、COD、全硬度や硝酸イオン、アンモニウムイオンのほか、今年から透視度も加わりました。

             〔写真1〕河原での水質調査の様子

なんとかお昼までに6地点での調査を終え、午後は親睦を兼ねて、近くの洞窟までみなで遠足に行きました。

3日目はみなで地図を作成し、取ってきたデータを書き込み、大学の先生が今年のデータから言えること等を説明しました。

3回目ともなると、中学校も大学側もいろいろと要領がよくなって、現場での調査もまとめのワークショップも、たいへんスムースにいくようになりました。

            〔写真2〕データをまとめて地図に落とす作業

        〔写真3〕まとめたデータから言えることを高木教授が説明

また、データの蓄積によって、年ごとの比較などもできるようになり、何よりも双方の信頼関係の醸成によって、とっても楽しい3日間とすることができました。
午後は、恒例の駒澤大学が日本食を作ってふるまう企画を実施。

今年の出し物はお団子。小豆やきな粉など何通りもの味付けで子どもたちから先生まで魅了しました。

             〔写真4〕みんなで日本の団子を作り!

そのままいつもの交流会に移り、子どもたちの北タイのダンスや楽器演奏なども披露され、遅くまで歓談が続きました。


Linkでは“環境教育カリキュラム作成支援事業”の一環として位置づけ、継続してきたいと思っています。

【参考】これまでの本事業に関する“きむろぐ”での報告は、以下の通り。
2009年12月31日「ふたつのスタディーツアー」第1回目の交流事業の様子
2010年4月13日「続報・ホアファイ村での川の調査」乾季のデータ収集の様子
     8月16日「夏休みに入ってからのLink」雨季のデータ収集の様子
2011年1月5日「あけましておめでとうございます」第2回目の交流事業の様子
     8月6日「ホアファイ村に行ってきました」雨季のデータ収集の様子
また、東日本大震災に際してのホアファイ村からのメッセージは以下にも記載。
2011年6月8日「タイ人たちの思い」
 どうぞご覧下さい。

(き)



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2011年12月20日火曜日

高校生が北タイの農家のくらしを体験! ②

12月16日、きのうに続いて水農(すいのう)のみなさんが、村での体験を重ねました。
きょうの企画は“パカニョーの伝統文化体験”。
日本ではカレンと呼ばれるこの多いパカニョーとは彼らの自称で、このホアファイ村ホイポン集落はLinkが一番最初に活動を行った村でもあります。

午前中は“必修”の農作業。一人一軒ずつ宿泊しているステー先の人たちとそれぞれ畑に行って、落花生や小豆の収穫などを行ってきました。

午後、最初の企画はパカニョーの餅つきでした。
蒸籠(せいろ)で蒸したモチゴメをアツアツのうちに臼(うす)に移し、杵(きね)で搗(つ)きます。
日本の餅つきと違って水は使わず、ゴマを臼や杵にたっぷりつけ、搗いている間にもこれを加えていきます。
できた餅は、その場であっという間に消費されていきました。

〔写真1〕パカニョーの餅:メトピを搗く


次はパカニョー独自の“ウルチ米バナナの葉包み茹(ゆ)で”。
この村、実はカトリック教徒の村で、パカニョー独自の儀礼などはまったく残っていないのですが、それでもその片鱗を見ることがまだあります。
バナナの葉でコメを包んで茹でるのですが、この包み方に“男包み”と“女包み”があって、これを作る時はセットで作らなければならないのだそうです。
これを儀礼に使ったり、どんな時に作るという決まりなどはもうないのですが、それでも包みは非常によくできていて、私も驚かされました。
炭火にかけた鍋で1時間も茹でると、中のコメはバナナの葉の色が移って薄黄色となり、何ともいえない淡い香りのする美味しいお米ができていました。

〔写真2〕“男包み”と“女包み”


米を茹でている間に始まったのが、竹かご編みです。
山から切り出して来た竹を編んでいきます。
村人がやってみせると簡単そうに見えるのですが、初めての人にはかなり難易度の高いもので、みな悪戦苦闘していました。
できたかごは、お土産にもらってきました。

〔写真3〕かご編みに挑戦!


最後は機(はた)織り。
Linkはかつて、すっかり化繊を使うようになって絶えていたこの村の草木染めの復活を支援したことがあります。
http://www.geocities.jp/link_chiangmai_forest/project.html
これには男子生徒ふたりが挑戦し、未婚の女性用の白い衣装の一部を織ることができました。

〔写真4〕機を織る


〔写真5〕小さな見学者たち


標高約600mのところにある村の気温はとても快適で、いろんな体験をたっぷり積み、お腹もいっぱいになって、充実した一日となったようでした。

2日間にわたる全身を使った体験を終えてみなが眠りにつくころ、空には満天の星空が輝いていたのでした。

【お知らせ】
今回訪れたホイポン村の村人が草木染めを復活させる際に、Linkが紹介したのがランパーン県スィードンムン村の人たちの活動です。Linkの物品販売事業“北タイのハンディクラフト展示市”では、この村の製品を扱っています。関心のある方はお気軽にご連絡下さい。

http://www.geocities.jp/link_chiangmai_forest/subpage/subpage06.html

(き)


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2011年12月19日月曜日

高校生が北タイの農家のくらしを体験! ①

12月13~18日まで、茨城県立水戸農業高等学校の生徒8人と先生方3人を受け入れて、村に行って来ました。
国境の町やメコン河を見た後は、チェンマイ北部のLinkの活動地でもあるホアファイ村で、村のくらしを体験してもらいました。

村での第1日目は主にコンムアンといわれるタイ系の民族がくらす、ホアファイ集落で過ごしました。
3つの班に分かれ、自分たちで畑や山、川に行って食材を集め、ディナーを作ろうというプロジェクト、その名も“ディナプロ”。
第1班は川で魚を獲ってきます。
第2班は畑で野菜などを集め、鶏料理も担当。
第3班は器となる素材集めから始めるお菓子作り。

魚獲りは、何時間も川を歩いて銛(もり)で魚を突いて獲るというもの。
しかし初心者においそれとできるものではなく、高校生たちは村人の技を思い知らされることに。
獲ってきた魚はスープと、“ナムプリック”という野菜などをつけて食べるトウガラシソースの素になりました。
スープ作りも、村人が山で狩りをする際に用いる方法を、実演してくれました。
鍋などは使わず、直径13-4cmはある大きな竹を使った器に入れて、これを炭で焙(あぶ)って茹(ゆ)でるというものです。

第2班は野菜やパパイヤなどを採ってきて、タイ名物“ソムタム”というサラダなどを作りました。
一つひとつ野菜を洗い、30cm以上もあるパパイヤの皮を剝き、目に入らないように注意しながらいろんな香辛料を混ぜていきました。
鶏をしめて解体しスープにする作業は、村人のアドバイスを受けながら、基本的には畜産科の生徒が全部やりました。
すごい!

お菓子作りですが、これがまた急斜面を登って素材を焼くための器となる竹の採取から始めるという、たいへんなもの。
川を渡渉し、急斜面で滑落したり、長い竹を運ぶ途中にあちこちに擦り傷を負いながらの苦闘が続きました。
村に戻るとまず、竹を切って大量の器を作りました。
ココナツの実を割り、中の果肉を削り出してココナッツミルクを絞り、これとモチゴメを器に入れ、椰子殻で栓をして、炭火で焼くという本格的なものです。

料理は日が暮れるころには次々できあがり、自分たちで素材から集めて作った味に、みんな満足しながらお腹いっぱい食べました。

次の日に隣のパカニョーと呼ばれる民族の集落で行った活動の紹介は、また明日。


         〔写真1〕お菓子の器になる竹を背負って村に向かう

        〔写真2〕専用の道具を使ってココナッツの果肉を削り取る

                 〔写真3〕鶏の羽根をむしる


          〔写真4〕タイ料理に欠かせないナムプリック作り

                  〔写真5〕大漁!

            〔写真6〕おいしい顔って、どんな顔?

(き)



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2011年12月11日日曜日

北タイの森を守る人を支える~ノンキョー村の完成式~

このプロジェクトは、森林保全を通して持続的な村おこしを図る村人たちを応援するものです。

村の地図作りから始め、これに村人たちの守ろうとするコミュニティ林の境界などを入れます。
村人たちが開発の大きな流れの中で何を得て、何を失ってきたか。
言い換えればその村の“来し方”を確認し、“行く末”を考えるための歴史を書きとめます。
村人のくらしがいかに森と共にあるか、その村のくらしがどんなに価値のあるものかを明らかにするために、村にある森林資源のデータとその利用方法を記します。
最後に1冊の冊子“村の百科事典”にまとめます。

ここに収められた情報の活用によって、村内および村外への発信力を強化する。組織を強化し、村人の活動が一層有意なものになるように応援しようというのが、この活動の主旨です。

村人と共に集めたデータをLinkがまとめ、村人に引き渡す”完成式“を、きょう、チェンライ県のノンキョー村で行ってきました。

活動開始以来10村目となるこのノンキョー村は、木村が24年前にフィールドワークを行って卒業論文にまとめた村、活動の原点ともいえる村です。

ここはラフという少数民族の村で、冊子の表記はタイ語だけでなくラフ語でも行いました。
また、地図の作成はすべてフリーソフトを使って行うという、技術面での課題にも取り組みました。

朝5時に事務所を出発し、200km走って村に向かいました。
9時にはこの村を構成する4つの集落のリーダーたちが集まり、スタッフのサムニアンが冊子の主旨と使い方などを説明しました。
今後、村人たちが自分たちで情報を足して改訂できるように、CDに焼いたすべてのデータも渡して、“完成式”を無事終えることができました。

Linkのスタッフが一丸となって新たな課題に挑んだ冊子が、村人に大いに活用されるように祈って、ノンキョー村を後にしました。




         〔写真1〕ノンキョー村の風景


     〔写真2〕“完成式の様子” 早速に活発な議論が・・・


          〔写真3〕“完成式”の後で

(き)


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