2010年3月25日木曜日

北タイで環境に携わる人たち①

22日の月曜日、チェンマイ市内の事務所から160kmほど北にある、マイポーガム村に行きました。
73世帯の小さな村ですが、村長たちが森を守る活動をしており、Linkが村人と協力して作ってきた地図や村の歴史情報を冊子にまとめ終えたため、それを渡しに行ったのです。

引き渡しは、今後3年間の村おこしの計画を議論する村の集会の冒頭で行われました。
スィンワン村長は、余計なことは言わないとても誠実な感じの人で、まず、集まった村人に対して私たちのことを丁寧に紹介してくれました。
スタッフのサムニアンが冊子の内容などについて簡単な説明をし終わると、村人たちから拍手が沸き起こりました。
さらに重ねて村長から丁重な礼を言われ、私たちは集会場を後にしました。
その晩は車で1時間ほど走り、古巣のホアファイ村ホイポン集落で泊まりました。



〔写真1〕マイポーガム村で“村の百科事典”について説明する





〔写真2〕スィンワン村長に“百科事典”の引き渡し


翌23日の朝8時過ぎには村を出、チェンマイ方面に1時間ほど走り、チェンダオという町のとある高校に行きました。
ここには、以前から私たちがいろいろな相談に乗ってもらっているチャンチャイ先生がいます。
環境教育に非常に熱心で、どこかとぼけた感じだけど暖かく、穏やかな話の中に鋭い指摘がたくさん含まれている、そんな人です。
こちらでは“先生”というとけっこう権威で、生徒たちにも威圧的な人が少なくありません。
しかし、チャンチャイ先生は、例えば訪問者が環境について尋ねている最中に自然保護サークルの生徒が通りかかると、全て生徒に話を任せてしまいます。
曰く、「私のやっていることは生徒が体現していることが全てです」。
自然保護サークルの生徒はみな、この小さな町が大好きで、とても誇りに思っています。
私も一度、その1年ほど前に会ったことのある女子生徒に、「木村さんはまだチェンマイに住んでいるのですか? で、いつチェンダオに移ってくるのですか?」と“まじめな笑顔”で聞かれたことがあります。
生徒なんかに任せておけないと、生徒には話をさせなかったり、生徒が話していてもすぐに割って入る先生が多いのに、この先生はいつも泰然としたものです。

タイでは環境保全活動はいつも困難が伴います。
つらい経験も山のようにあったと思うのですが、いつも生徒のことを考え、予算確保に走り回り、自らも研修に出ては勉強を続けているチャンチャイ先生。
バンコクに生まれたのですが、学生時代に旅をしていてチェンダオに惚れ込んだそうです。
のちに教師になり、こちらに転勤して来て25年。
あと3年で退官してしまうのが、いまからとても惜しまれます。
しかし今は、後進の教員の養成にも取り組んでおられ、また退官後も学校の近くに住むということで、ちょっと安心です。

久しぶりに訪問した私たちの活動の進捗状況を喜んでくれました。



〔写真3〕Linkの依頼でホアファイ中学校の生徒たちに講演してくれた際のチャンチャイ先生(2008年2月)



この後、もう一人、タイを代表する環境保護の活動家にチャンチャイ先生も一緒に会いに行ったのですが、その話はまた次回にでも。

(き)